紛争の内容
独身で一人暮らしのA氏が亡くなりましたが、相続人は誰もおらず、A氏の所有していた戸建て建物等は、中の家財道具もそのままに長年放置されることになりました。
15年以上が経過し、建物は老朽化が進んで倒壊寸前の状態に。
しかも、A氏の自宅は住宅密集地に存在していたため、庭木として植えられていた欅の大木が四方に枝を張り出して隣地に越境。一部は電線にかかったり、隣りの住宅の壁を擦っているような状態でした。
近隣住民からの苦情を受けた市の方から、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立がなされ、当職が清算人に選任されました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まず急ぎ着手したのが、近隣に著しい迷惑を及ぼしていた欅の大木の伐採です。
申立人である市の担当者と相談しながら、優先すべきはとにかく伐採であると判断し(費用と時間のかかる伐根まではしない)、約60万円をかけて切り株の状態にまで伐採しました。
次に、倒壊の恐れのある建物の処分ですが、こちらは解体にも費用がかかるため、その費用も見込んでもらったうえで、速やかに不動産業者に売却。売却金額は低廉でしたが、速やかに更地にしてもらうことができました。
A氏には、その他に目ぼしい金融資産などはなく、公共料金等の未払いはありましたが、弁済できるだけの相続財産法人は形成できず、そのまま事件終了となりました。
本事例の結末
相続財産清算人事件は無事に終了。
本事例に学ぶこと
相続人が不存在のまま、誰からも手入れされずに長年放置された建物と庭木は、近隣住民にとっては多大な迷惑となります。
本件は、地方公共団体が貴重な税収の中から申立費用を負担して、近隣住民のために清算人選任を申し立てた事案でしたが、大きな被害が生じる前に速やかに危険を除去できて何よりでした。
弁護士 田中 智美







