榎本弁護士

相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がある場合に、他の相続人との間の実質的な公平を図るために、その増加をさせた相続人に対して、相続分以上の財産を取得させる制度のことを言います

具体的には、被相続人の家業に従事して被相続人の財産を増やした、寝たきり状態の親を自宅で介護をして親の財産の減少を防いだ(ヘルパーを頼まずに済んだことから、財産の減少を防いだものと評価されます)など、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたと評価できる場合に、「寄与分」として貢献した相続人の取り分を増やすことになります。

なお寄与分を主張できるのは相続人だけです。相続人ではない方が、相続人の生前、どんなに相続人の世話をしたり、事業資金を援助していたとしても、寄与分を主張することはできません。例えば、内縁の妻には相続権が認められていませんから、寄与分の主張をすることはできません。

寄与分が認められた事例として、以下のものがあります。

【事例】
長男は、17歳のときから父の家業を手伝い、職人肌だった父の代わりに、会社の経営管理面を引き受け、卸問屋との交渉、外注の仕組みの確立、家業の業態の転換などを行ってきました。その反面、働きに見合うような給料は、父が第一線から退くまで、もらうことはありませんでした。他方、長女、二女は、会社の社員として、父の家業を手伝ってきました。ただし、いずれも結婚するまででしたら、長男と違って、長期間、会社と関わることはありませんでした。このような事情のもと、家庭裁判所は、長男に10%の寄与分を認め、長女、二女には寄与分を認めませんでした。

寄与分の計算方法

寄与分がある場合の相続分の計算方法は、遺産から寄与分を一旦控除してみなし遺産を算出し、これを法定相続分に従って分配した後に、寄与が認められる相続人の相続分に寄与分を上乗せします。

以下具体的な事例に沿って御説明します。

【事例】
本人の遺産が現金5000万円、相続人として配偶者及び子が二人おり、長男が被相続人の生前、被相続人の事業を手伝っており、被相続人の資産形成に20%(1000万円)分の貢献をしているとした場合

【計算式】
みなし遺産・・5000万円(遺産)-1000万円(寄与分)=4000万円
配偶者・・4000万円×1/2=2000万円
長男(事業に従事)・・4000万円×1/4+1000万円(寄与分)=2000万円
次男・・4000万円×1/4=1000万円

以上の通りそれぞれの具体的相続分は、配偶者2000万円、長男(事業に従事)2000万円、次男1000万円となります。

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