紛争の内容

Aさんは、年齢的にそろそろ遺言書を作成しておこうと考えました。

資産としては、預貯金・株式などの金融資産のほか、自宅以外の不動産として多数の別荘を所有しています。

推定相続人となるのは子B・C・Dの3名ですが、主に、家業を継いでくれているBに遺産を残したいとのご意向です。

ただ、Aさんは、多数所有している別荘を売却するかどうか迷っており、「売却が完了してから遺言書を作成した方がいいのか」と悩みながら、相談にお越しになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過

別荘は売りには出しているものの、買い手がつく時期は見通せない状況とのことであり、売却の完了を待つのではなく、たとえ暫定的なものになるとしても、今のタイミングで遺言書を作成しておくべきだと判断しました。

Aさんと相談し、基本的な財産は全てBに相続させるものの、CとDの遺留分にも配慮して、2人にも遺留分相当額(別荘の評価額も勘案したもの)の預金を取得させるとの内容で遺言書を作成することにしました。

本事例の結末

現段階で公正証書遺言を作成。

内容は、「C・Dには遺留分相当額の預金を取得させ、それ以外の遺産は全てBに取得させる」というもの。

本事例に学ぶこと

遺言書は事情の変更があれば後からいくらでも作成し直すことが可能ですし、亡くなるまでの間に遺言書に記載した財産の一部を売却したとしても、そのことによって遺言書が無効になるわけでもありません。

ご自身の年齢や体調を考慮し、資産構成を整理する前の段階であっても暫定的に遺言書を作成しておけば、万が一の時にも安心です。

弁護士 田中 智美