紛争の内容
両親の離婚後、実母に引き取られた依頼者は、長らく実父と音信不通であったが、生前に病院での面会がかなった。その数か月後に死亡した。元は地元実業家であった実父は、親族外に多額の負債があったようであったが、それ以外に不動産・預金などの資産も保有していた。相続発生後、相続人の存在を突き止めた、債権者からの対応も含め、依頼された。
交渉・調停・訴訟などの経過
① 被相続人は、九州の離島にて入院生活をし、依頼者がその死亡の事実を知ったのは、死亡の翌日の親族の電話であった。よって、熟慮期間の起算点は、死亡日時の翌日となる。
② 被相続人は、元は、複数の店舗を経営する実業家であったが、廃業後は、病院事務職員、退職後は年金暮らしであった。
  令和元年11月に、病床の被相続人を見舞う(25年ぶりの再会である)も、翌1月に亡くなった。被相続人の死後、被相続人の親族などから、被相続人は金融機関などに運転資金を借り入れ、被相続人の親族などもそれらの保証人となっていた、親族らが肩代わりをしたと告げられた。地元の親族らは、被相続人の財産状況を知り、相続人に今後の対応を求めてきた。
③ 依頼者は、被相続人の負債の状況を知るため、信用情報機関への照会を済ませたが、被相続人の負債の情報は確認できなかったが、親族らの主張する負債(保証実行による求償権など)を確認する必要があった。
依頼者は、同年3月中旬には、被相続人の自宅のある離党を訪問し、遺品整理などをする予定であったが、今般の新型コロナウィルス禍により、これを延期せざるを得なかった。したがって、これから改めて、相続財産を調査するには、法定期間内に相続を承認するか放棄するかの判断することが極めて困難な状況になり、その伸長申立てを依頼された。
④ 結局、本申立を3回(初回の伸長、再度の伸長、再々度の伸長)して、死亡後1年間、その調査、結果の検討に充てた。依頼者は、相続を承認することとし、改めての伸長も求めず、放棄申立もしなかった。

本事例の結末
相続の承認
本事例に学ぶこと
伸長申立ての期間の終期が迫っていることから、弁護士に依頼された。あわせて、相続債権者の主張の根拠の調査も依頼された。
相続債権者の親族に対しては、上記申立代理人に就任し、その調査の旨伝えて、取立てなどの電話が止み、平穏を取り戻せたことも依頼者のメリットとなる。
放棄しないこと(相続の承認)を相続債権者の問い合わせに回答し、終了となった。