紛争の内容
被相続人の死亡後に被相続人に多額の債務があることが発覚したため、相続放棄の申述をした事案。

交渉・調停・訴訟等の経過
相続放棄は「相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」しなければならない(民法915条1項)(熟慮期間といいます。)ところ、本件では、被相続人は令和7年2月頃死亡したものの、相続人は被相続人と長年疎遠であったため、同年7月に被相続人の債権者からの連絡があって初めて被相続人に債務があることを知りました。そして当職らが同年8月に相続人より相続放棄の依頼を受けました。

上記事情から本件では、「相続の開始があったことを知った時」を被相続人の死亡時とすると熟慮期間が経過してしまっており相続放棄が認められないことになってしまいます。

そこで相続放棄の申述書に、相続人が被相続人と長年疎遠であって、令和7年7月の債権者からの連絡で初めて被相続人の債務を知るに至ったことを詳細に記載し、相続人が「相続の開始があったことを知った時」は同年7月であることを説明しました。

本事例の結末
無事に相続放棄が認められました。

本事例に学ぶこと
被相続人の死亡時から3か月以上経過してしまっている場合でも、相続人が被相続人と長年疎遠であって被相続人の財産や債務について知ることができないような場合には、相続放棄が認められることがあります。

弁護士 申 景秀
弁護士 椎名 慧