事案の内容
お子様が長く入院していて認知能力がなく、入院治療費等を支払うためにも、お子様が所有する不動産を売却して現金化したいという相談を受けました。
相談の結果、裁判所において成年後見人を選任してもらうのが適当と判断し、当事務所で後見人選任の申立てを行うことになりました。

事案の経過(交渉・調停・訴訟など)
お子様の病院から診断書をもらい、お子様に認知能力がないことの説明資料としました。
また、お子様と親族の戸籍謄本を取得し、お子様にはどのような親族がいるのかの説明資料としました。

そして、親御さんであるご依頼者様から、後見人選任に関する意見書をもらい、後見人を選任するのが適当である旨の意見を頂きました。これらの資料を提出して、裁判所に対し、後見人選任の申立てを行いました。

その後、裁判所が、成年後見人として、申立代理人である当事務所の弁護士を選任し、引き続き、同弁護士が後見人として病院への治療費等の支払いと、不動産の売却の準備を行いました。

不動産の売却の準備としては、不動産会社から、買主候補者から提出された買付証明書、及び、不動産の評価額を説明する査定書を提出してもらい、固定資産税評価額と比較したり、建物の現況に関する説明をして、買主候補者が提示した買取金額が十分な金額であることの説明資料としました。

これらの資料を提出して、裁判所に対して、不動産売却を許可する旨の審理をするように申立てを行いました。

その結果、裁判所は、不動産の売却を許可しましたので、売却を実施し、買主から売却代金が支払われました。

本事例の結末
売却代金によって、病院への治療費等の支払いのための資金は確保されました。
その後、お子様は亡くなられましたので、相続人であるご依頼者様へ、お子様の預金は返還しました。

本事例に学ぶこと
入院が長くなったご親族の治療費の支払いのために資金を確保するため、不動産を売却する方法を学びました。
このような相談がなされることは、比較的多いですが、今回もスムーズに後見人の選任の申立てを行い、その後、後見人として不動産を売却することができました。

弁護士 村本 拓哉