紛争の内容
さいたま家庭裁判所より、相続財産管理人として選任されました。
相続財産管理人とは、相続人不存在の場合に、亡き被相続人の財産をすべて金銭に換価し、債権者を調査して支払を行うなどし、特別縁故者からの分与を検討し、最後に残ったお金を国庫に帰属させる役割を担います。

交渉・調停・訴訟などの経過
相続財産管理人を申し立てたのは、特別縁故関係を主張する親戚の方でした。
被相続人の生前には、一緒に旅行し、被相続人が一人旅をするときは身元引受人とするなどの関係にあるようでした。
相続財産管理人としては、不動産(マンションの一室)の売却のため、複数の不動産業者に内覧日を設定して内覧させ、入札により一番高値を付けた業者に売買することになりました。
それ以外にも、預貯金は解約、有価証券についても処分し、すべて金銭に変えました。
その後、特別縁故者からの分与の申立に対して、裁判所に意見を述べ、裁判所が決定した金額を特別縁故者に支払いました。

本事例の結末
一通りの相続財産管理人としての任務が終了し、報酬を差し引いて、残りをすべて国庫に帰属させる手続を行い、本件は終了となりました。

本事例に学ぶこと
相続財産管理人は、相続人が存在しないけれども資産・負債があり、これを処理するために必要な場合に選任されます。今回は特別縁故者が申立をしました(この時、予納金といい、相続財産管理人の業務のための資金として100万円程度を申立て後に裁判所に納める必要があります)が、国等が滞納した税金を回収する場合や債権者が申立をする場合、株券等を処理したい会社が申立をする場合など様々です。
今回は、グリーンリーフ法律事務所が一定の信頼を裁判所から得ているため、申立人とは全く利害関係がない状態で、中立的かつ専門的な立場として、相続財産管理人に選任されました。

弁護士 時田剛志