紛争の内容

1 亡母の遺産分割事件(亡母歯科開業医、遺産不動産(歯科クリニック)、その他不動産、預金、歯科医会給付金の遺産性、依頼者二女は、亡母と歯科経営(家事専従者)であり、特別の寄与があると主張したい。

交渉・調停・訴訟等の経過

1 三女が申立人、相相手方として長女。さい家熊谷支部。
2 申立人には代理人弁護士あり。
3 3回目までの期日は、二女が夫の協力を得て、本人で対応。
4 寄与分の主張がつたなく、裁判所から、代理人弁護士を選任するよう強く求められる。
5 当事務所相談で4ヵ所目。他の弁護士は、寄与分の主張はしないとか、要領を得なかった。
6 代理人就任し、その準備を促す。事業主が亡母の時代であっても、顧客は二女がほとんどであったこと。過去の顧客管理の資料、売上内容の準備を促す。具体的な指示を受け、準備したいとの決意を示す。調停期日までに、2回の打合せを設定。
7 長女は、相続分を放棄し、調停から脱退の意向とのことだったが、できれば、同相続分を二女に譲渡し、脱退されるようお願いする連絡文送付。
8 長女は、相続分取得を求めず、また、二女・三女の意向をそれぞれ、問いただす。
9 二女が大幅増額した代償金の支払を了承。当事者本人間で合意成立。
10 その連絡を受け、調停条項案を作成。依頼者の確認を経、申立代理人に検討を求める。
12 長女、相続分放棄、調停脱退。調停より排除。
13 申立人了承。裁判所に調停条項案送付。

本事例の結末

1 出頭予定の書回期日で、調停成立。
2 相続登記完了、代償金支払い終了連絡あり。

本事例に学ぶこと

1 特別の寄与を主張するためには、相応の資料が存しなければならないところ、その準備を促したが、本業をしながら、その準備をかなえるのは、難しいと感じていたところ、双方に代理人が就任し、紛争の長期化を恐れた、長女が仲立ちとなって、当事者だけで合意を形成した。
2 早期の解決を望んでいることを実現すべきであるが、依頼者の要望を聞き取り、その準備を具体的に指示することは、依頼者の満足を促し、不満を防ぐ。
3 報酬については、最大限減額した。