遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリットは何か?

遺留分侵害額請求には、期間制限や計算の複雑さなど、ご自身で進めることのハードルが存在します。この記事では、弁護士に依頼した場合のメリットを紹介します。ご自身にとって代理人弁護士が必要ではないか、ご検討ください。

1 はじめに

1 はじめに

相続は、どなたかが亡くなったことで発生します。
そのため、相続が問題となる場面では、相続人の方は「心」の整理をする暇もなく、遺産にまつわる諸問題を解決しなくてはならない立場におかれます。

そして、相続の場面で問題となるのは、何も遺産の具体的な分け方だけではありません。
中には「遺産の取り分すらもらえなかった」ということもあります。
これは例えば、遺言で「全財産を○○に相続させる」などと書かれていた場合に生じます。
遺言の有効性に問題が無い場合、こういったケースでは、遺留分侵害額請求をすることで、自己の遺留分に相当する金額については(モノではなくお金で)確保することが可能です。
しかしながら、遺留分侵害額請求をするにも時間制限があったり、やり方・進め方が分からなかったりして、「心」の整理がつかない状態のまま進めることは容易ではないかもしれません。

この記事では、遺留分侵害額請求を考えたときに、これを弁護士に依頼するメリットやその理由をご紹介します。
相続問題における皆様の選択肢のひとつとして、「弁護士へ依頼する」ということを考えるきっかけとなれば幸いです。

2 遺留分侵害額請求の概要

2 遺留分侵害額請求の概要

遺留分の詳しい説明はこちらのページをご覧頂ければと思いますが、ここではざっくりと、「遺産の総額に決められた割合をかけて計算される、法律上守られた取り分のこと」とイメージしてください。
そして、遺言などによって、その取り分(遺留分)に満たない遺産しか受け取ることができなかった場合に、遺言などによって遺留分以上に遺産をもらっている人物に対して、その不足分に相当する金額をお金で請求できるというのが、遺留分侵害額請求です。

いかがでしょうか。この記事をご覧になっている方は、そもそも遺留分に関心があるという方が多いと思いますので、このような制度があるということもすでにご存知かと思います。
しかし、一般には、この遺留分・遺留分侵害額請求という制度は、あまり知名度が高くないのではないでしょうか。
そうすると、なかなかすんなりと事が運ばないということもあるかもしれません。

こういった事情もあり、遺留分侵害額請求を(弁護士に依頼せず)自分で進めることには、以下のようにいくつかハードルがあるように思われます。

3 遺留分侵害額請求を自分で進めることのハードル

3 遺留分侵害額請求を自分で進めることのハードル

①「1年間」の期間制限がある

まず、遺留分侵害額請求を考える方が最も気を付ける必要がある事項が、遺留分侵害額請求には期間制限があるということです。
具体的には、相続が始まったことと、自身の遺留分が贈与や遺贈などによって侵害されていることを知ってから「1年以内」に相手方に遺留分侵害額請求を行わなくてはなりません。

ここでいう「請求」とは、訴訟の提起までは必要ありませんが、後に争われた場合に備えて、期間内に確実に相手方に対して請求の意思表示が届いたことが証明できる方法で行う必要があります。
具体的には、弁護士が対応する場合は、おそらくほとんどのケースで後に説明する内容証明郵便を利用しているものと思います。

しかし、被相続人が亡くなってまもなく遺言により自身の取り分が少なくなっていることを知った場合は、喪が明けないうちに遺留分侵害額請求を行わなくてはならないかもしれません(宗教・宗派、故人との関係性等によりご事情は様々と思います。)。
このように、まだ故人への思いが整理でいないうちに、通知を送ったり、請求の準備のために書類を集めたり、計算をしたりといったことを進めなければならないということは、心理的に大きな負担となるように思います。

②内容証明郵便の文面や送り方が分からない・不安である

上記でも少し述べましたが、遺留分侵害額請求は「1年」という厳格な期限があるために、「いつ遺留分侵害額請求を行ったのか」ということを証拠として残しておくことが賢明です。
この点を明確にしておくために、弁護士が遺留分侵害額請求を行うときは、多くの場合で内容証明郵便を利用します。

内容証明郵便というのは、郵便局が、誰が誰に対してどういった内容の手紙を送ったのかというのを証明してくれるサービスで、これに「配達証明」というオプションを付けると、「この内容の手紙が、いついつ、受取主の誰々に渡された」ということまで証明できるということになります。
しかし、通常生活する上ではこのような手紙の出し方はしないと思います(そもそも、最近はメールやチャット、SMS等がコミュニケーションの主な手段で、アナログの手紙は利用しないという方も多いかもしれません。)。
そのため、どうやって内容証明郵便を送ればよいのか、どのような文面を作成すればよいのか等、疑問や不安を抱いたり、自身で手続きする時間がとれないということもあるのではないでしょうか。

このように、遺留分侵害額請求のスタート地点でもある請求(通知)の時点で、立ち止まってしまう方も多いように思います。

③遺留分侵害額の計算が複雑

遺留分侵害額は、ざっくりと言えば、遺産の総額から導かれる遺留分に対して、現実に不足している金額、というような説明ができます。
しかし、これはあくまでざっくりとしたイメージです。
実際には、遺産として何が含まれるのか、不動産や有価証券の評価額はどうするのか、生前贈与などがあった場合はどうなるのか等、考慮して計算をする要素がいくつもあります。
そのため、「遺産を全くもらえていないので遺留分が侵害されているのは分かっているが、一体いくら請求できるのか?」というところで躓いてしまったり、相手方と話が噛み合わなかったりすることがあり得ます。

④請求に応じてもらえない

これは実際に見聞きしたことのある事例なのですが……上記でも少し述べたとおり、遺留分・遺留分侵害額請求という制度は、残念ながらそこまで一般的な知名度を獲得している制度とは思われません。
そのため、(弁護士を依頼せず)当事者間のみで話し合いで解決しようとしたときに、「遺言書に『全部○○に相続させる』と書いてあるのに、どうしてお前(△△)に渡さなきゃならないんだ」と全く相手にしてもらえなかったということがありました。
その件は、その後お互いに弁護士に相談し依頼したことで進展しましたが、そのまま当事者同士の話し合いだけで解決しようとした場合には、なかなか前に進めなかった可能性があります。

⑤感情的な対立の矢面に立たされる場合がある

遺留分侵害額請求は、ある意味で、遺言などに表れた被相続人の意思に対して「否」を唱える行為です。
そのため、特に遺贈等によって被相続人から遺産・財産を受け継いだ相続人や受遺者との間で、感情的な対立が起こりやすい類型といえます。

遺留分の問題に限らず、相続問題全般に言えることですが、感情的な対立が大きくなってしまうと、解決の糸口が見えず、お互いに疲弊してしまうということがあります。
中には、それまでの恨みつらみをお互いにぶつけ合うようなことになるケースもないではなく……そうなってしまうと、当事者だけでは二進も三進も行かなくて、精神的な負担が増す状況に陥ってしまうかもしれません。

4 遺留分侵害額請求を弁護士に依頼することのメリット

4 遺留分侵害額請求を弁護士に依頼することのメリット

上記のようなハードルを乗り越えることは簡単ではないと思いますので、遺留分侵害額請求を検討する際は、ぜひ弁護士へのご依頼もひとつの選択肢としてご検討頂ければと思います。

弁護士に依頼した場合には、特に以下のようなメリットがあると考えられます。

①期間内に適切に手続きを進めてもらえる

弁護士を依頼すれば、適切なタイミングで確実に手続きを進めてもらえます。

具体的には、最初の期限である「1年」以内に内容証明郵便を送るのも、話し合いが進まなければ調停や訴訟という次のステップも検討するのも、弁護士に任せておくことができます。

②遺留分侵害額の計算を任せられる

弁護士を依頼した場合、提供した遺産の資料や当事者・関係者の聞き取りから、適切に遺留分侵害額を計算してもらえます。

もし自分で集められない資料がある場合には、相談の上、弁護士会照会などを使って集めることも考えられます。

特に預貯金の動きや不動産がたくさんある場合、相続人や受遺者が複数いる場合などは、遺留分侵害額の計算が複雑になりますので、弁護士に任せることが有用となります。

③窓口が弁護士になるので直接やりとりしなくてよくなる

弁護士を依頼した場合には、相手方とのやり取りは弁護士が行います。連絡の窓口を弁護士にすることができるので、自身は直接相手方とやり取りする必要はありません。

相手方から直接連絡があったとしても、「この件は弁護士に頼みましたのでそちらに連絡お願いします」と言って直接やり取りすることを避けることができます。

他人である弁護士が間に入ることによって感情的になることを抑える方向に繋がることもありますし、例え感情的な連絡があったとして、弁護士は遺留分侵害額請求の話し合いに必要な範囲で要点をまとめて、当事者に伝えることができますので、精神的な負担は軽減できるものと思います。

また、相手方が弁護士を立ててきた場合にも、自分で相手方弁護士とやりとりする必要はなく、弁護士同士のやりとりに任せることができます。

5 具体的な解決事案のご紹介

5 具体的な解決事案のご紹介

弊所は埼玉県で開業し今年で35年となります。また所属弁護士数も埼玉県内でトップクラスであり、遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)の事案も数多く扱ってきています。

下記は解決事例の一部です。ほかにも今までの解決事例をホームページ上で公開していますので、ご参考までに、もしよろしければご覧下さい。

①遺言により全ての相続財産を取得した兄に対して遺留分侵害額請求交渉を行ったケース

②遺言により単独相続した相続人に対する遺留分侵害額請求

③公正証書遺言が存在した相続事案に関して遺留分侵害額請求調停を起こし一定の金銭支払いを受けたケース

6 まとめ

6 まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、遺留分侵害額請求をする際に、躓きやすい、あるいは障害となりやすい事情と、弁護士を依頼することのメリットをご紹介しました。

遺留分侵害額請求の場合は、同じ相続分野の問題である遺産分割事案よりも紛争性が高いことが多いかと思いますので、より弁護士を依頼する有用性があると考えられます。

遺産の取り分が少ないと感じた場合は、依頼するかは保留にしても、ぜひ一度弁護士にご相談下さい。状況に合わせたアドバイスが可能と思います。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来35年以上の実績があり、18名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 木村 綾菜

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