紛争の内容

 身寄りがなく、日頃から生活の支援や介護を受けている特定の人物に対し、自身の死後に全ての遺産を譲りたいという希望を持たれていました。

また、将来的に自身の判断能力が低下した場合に備え、信頼できる同氏に財産管理や療養看護を委ねることで、最期まで安心して生活できる環境を整えたいとのご相談を受けました。

交渉・調停・訴訟等の経過 

ご本人の意向を確実に反映させるため、任意後見契約と公正証書遺言の二段構えで対応しました。

まず、認知症等で判断能力が不十分になった際に備え、支援者が正当な権限を持って財産管理を行えるよう任意後見契約を締結しました。

併せて、死後の遺産分割トラブルを回避し、全財産を当該支援者に遺贈する内容の公正証書遺言を公証役場にて作成しました。

本事例の結末

 公正証書による契約と遺言の作成により、生前の生活支援から死後の財産承継までを一貫して特定の人物に託す法的基盤が整いました。

これにより、ご本人は将来への不安を解消し、お世話になっている方への感謝を形にすることができました。

公的な証書として残したことで、親族等からの不当な介入を防ぐ効果も期待できる状態となりました。

本事例に学ぶこと 

法定相続人以外の方に全財産を譲りたい場合や、認知症後の生活を特定の個人に委ねたい場合は、公正証書の活用が非常に有効です。

任意後見と遺言を組み合わせることで、生前と死後の両面からご本人の意思を保護することが可能になります。

専門家を介して書面を整えることは、お世話をする側の法的地位を守ることにも繋がります。

弁護士 申 景秀