事案の内容
認知症の高齢者のご子息の方から相談を受けました。高齢者の方の預金が減ってきており、高齢者入居施設の料金が支払えなくなりそうであり、資金の捻出のために高齢者の方が所有する不動産の売却をしたいというご相談でした。ご子息は不動産を高齢者の方とともに共有しており、自身はすでに不動産会社に売却を依頼しているとのことでした。相談者のご子息のご兄弟が、高齢者の身の回りの世話をしており、売却に賛成しているということですので、当事務所の弁護士が成年後見人に就任して売却をすることを目的に、後見人選任の申立ての依頼を受けました。

事案の経過(交渉・調停・訴訟など)
高齢者の方が通院している認知症の主治医の方に、後見人選任の申立てに必要な診断書を作成してもらいました。また、高齢者入居施設のソーシャルワーカーの方に、高齢者の方の生活の様子に関する報告書をご作成頂きました。その他、戸籍に関する書類等の必要な書類をそろえて、後見人選任の申立てを行いました。
予定通り、裁判所は、申立代理人である弁護士を、後見人に選任しましたので、引き続いて、不動産の売却の手続きを進めました。高齢者のご子息が依頼した不動産会社に売却を依頼しましたが、査定書を作成してもらい、買い手側の提案する購入代金の金額が査定書よりも高額であることを説明し、裁判所に対して、売却の許可を求める申し立てを行いました。

本事例の結末
裁判所は不動産の売却を許可しました。売却代金は後見人が預かり、以後、高齢者入居施設の料金の支払いは後見人が行いました。

本事例に学ぶこと
高齢者の方の生活資金をねん出するために不動産を売却する方法を学びました。すでに、不動産の共有者がすでに不動産会社に売却を依頼している状況であり、買い手が不動産の所有権の全部取得を待っている状況でした速やかに後見人選任・売却ができるように意識し、手続きを進めました。今後もこのような相談について依頼があった場合は、活かせる経験になったと思います。

弁護士 村本拓哉