紛争の内容
ご依頼者様から見て伯父に当たるAさんは、今から30年以上前に亡くなりました。

ご依頼者様とAさんにはほとんど面識は無く、その人となりや経済状況、亡くなったときの状況、相続の状況などは何も知りませんでした。

最近になり、別の親戚であるBさんが亡くなりました。

ご依頼者様とBさんには交流があり、死後の遺品整理に関わったところ、BさんがAさん名義の土地の固定資産税を長年支払い続けていたことが判明しました。

Aさんの相続人を調べたところ、数次相続・代襲相続などが複雑に絡みましたが、自身が相続人に当たることが分かり、何か対応しなくてはと考えて弊所にご相談にいらっしゃいました。

固定資産税の支払いに関してだけ言えば、Aさんの相続人の誰かが(あるいは分担して)支払えば問題ありません。

しかしながら、相続登記が義務化されていることもあり、もしご依頼者様が亡くなれば、その相続人である配偶者や子・孫にこれらの義務が受け継がれてしまいます。

しかも、当該土地は、使い勝手が悪く価値が出ない土地、いわゆる「負動産」だったのです。

ご依頼者様は、自身の子や孫にこの相続の問題を持ち越して負担をかけてはならないと考えて、遺産分割協議を行うことをご希望されました。

交渉・調停・訴訟等の経過
先にも述べたとおり、本件では数次相続・代襲相続が複雑に絡み合い、戸籍調査の結果、広い範囲のご親族合計9名の方が相続人に該当することになりました。

これらの相続人の住所を調べ、状況をお知らせする通知を送り、遺産分割に関する意見を聴取しました。

本事例の結末
最終的に、代償金無く、当該土地をご依頼者様が単独で相続する遺産分割協議がまとまりました。

ご依頼者様は当該土地を処分していくとのことでした。

本事例に学ぶこと
先祖代々の土地の名義が変更されていない、実は遠い親戚の相続人になっていた等の理由で、あとから遺産分割協議の必要性が出てくることがあります。

本件では、ご連絡した相続人の皆様がとても協力的で、書面や電話でのやりとりで遺産分割協議をまとめることができました。

これが難しければ、9名の相続人全員で遺産分割調停を行う必要があり、事件解決に難儀するところでしたので、大変ありがたかったです。

相続は、できれば都度クリアに解決していきたいところですが、もし本件のように数次相続・代襲相続があって相続人同士の話し合いが難しい場合には、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士 木村 綾菜