紛争の内容
ご相談者様は、高齢となり、自身の相続のことが気がかりとなりました。

ご相談者様はすでに奥様と死別されておりましたので、相続人は、ご相談者様のお子様3人となる予定でした。

ただ、このご兄弟のうち、長男と二男の折り合いが悪く、遺産分割協議や相続手続きがスムーズに完了しないおそれがありました。

そこで、ご相談者様は、遺言を遺すことを考えて、弊所にご相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼者様のご要望をききとり、遺言書の案をまとめました。

本件で特徴的だった点は、遺言執行者として弊所をご指定頂いたことです。

遺言執行者は、相続人のうちのひとりを指定することも多々ありますが、本件のように第三者を指定することもできます。

本件の場合、相続人のうちのひとりを遺言執行者としてしまうと、他の相続人から協力が得られないなどのおそれがありましたので、第三者であり専門職(法律事務所)でもある弊所をご指定頂くことになりました。

本事例の結末
無事に、お気持ちに沿った内容での公正証書遺言を作成することができました。

本事例に学ぶこと
例えば、相続人のうち一人に遺産を全て相続させたい場合に遺言を使うというのは、よく採られる手法ですが、本件のように、将来相続人に負担を掛けないために遺言執行者を指定するという使い方もすることができます。

その他にも、例えば、相続人の中に認知症の方がいる、心身に障害があり身軽に動けない方がいるといった場合にも、遺言執行者の指定が有用な場合があります。

本件のご依頼者様のご遺言は、遺されるお子様方への細やかな愛情なのだと、(僭越ながら)感銘を受けました。

弁護士 木村 綾菜