紛争の内容
本件では、被相続人が多数の不動産を所有していましたが、いずれも田舎の田や畑、山林などで、収益性に乏しい上、固定資産税の負担や管理費などがかさむ(実質的には負の)財産でした。

交渉・調停・訴訟などの経過
相続人の意思を尊重し、裁判所に相続放棄の申述をしました。
相続放棄は、「相続を知った日から3か月以内」に申述する必要がありますが、本件はこの期間内であったため、速やかに相続放棄が認められました。

本事例の結末
相続放棄が認められ、相続人は無事、本件の不動産をいずれも相続せずに済みました。

本事例に学ぶこと
相続放棄と聞くと、被相続人に負の財産として、何らかの債務(借入金)がある場合に行うものと考える方も多いと思います(実際、その場合になされることが多いです)が、本件のように、債務はないけれど、実質的に負の財産といえるものがある場合にも、有用です。
相続放棄すべきか否か、悩まれた際にはまず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士 小野塚直毅