紛争の内容
 ご相談者(Aさん)は、約30年前に妻を亡くしましたが、妻名義の不動産に住み続けていました。ところが、実はBとCという相続人もいたのですが、遺産分割協議をしないまま放置されていました。この度、Aさんから相続で不動産の名義を取得したいとのご相談がありました。

交渉・調停・訴訟などの経過
 当時Aさんは、BとCに対して自分が不動産はもらうということを言い、BとCも了承をしたという経緯がありました。
 通常、共同相続の場合は、時効取得に必要となる「所有の意思」が認められません。しかし、上記のような事情があったので、民法185条の適用により、「所有の意思」に基づく占有が認められることになりました。そこで、Aさんは取得時効を援用することにしました。
 
本事例の結末
 こうして、相続事件でしたが「遺産分割」をせずに、取得時効を援用することで、Aさんは不動産の所有権を全て手に入れることができました。

本事例に学ぶこと

 相続事件でも取得時効が認められる可能性があります。