紛争の内容
ご相談者様は奥様とともにご相談に来られました。先日奥様が自宅の電話をとったところ、遠方の警察署の警察官から、ご相談者様の弟が孤独死をしたため、遺体を引き取って欲しいというご連絡でした。
ご相談者様と弟は、幼いころにご両親が離婚し、別々に引き取られたため全く交流が途絶えており、顔も覚えていないほどでした。
遺体の引き取りはすでにお断りしたそうですが、弟が亡くなって自分に警察からの連絡があったということは、相続人になっている可能性があると考え、弊所にご相談にいらっしゃいました。
お話を聞いたところ、ご相談者様及び被相続人である弟のご両親、祖父母はすでにお亡くなりになっているということでした。
そうすると、被相続人に子がいない限り、きょうだい(第三順位の相続人)であるご相談者様は相続人になっている可能性がありました。
そこで、相続放棄の手続と、その前提としての相続人の調査をご依頼頂きました。
交渉・調停・訴訟等の経過
弊所で戸籍謄本等を収集し、相続人調査をしたところ、被相続人には婚姻歴があり、離婚した妻が引き取った娘・息子がひとりずついることが分かりました。
そうすると、この被相続人の娘・息子が第一順位の相続人となります。
この二人が相続放棄をしない限り、ご依頼者様に相続権は回ってきません。
ただ、警察がきょうだいであるご依頼者様に連絡をしたということから、子らにも警察から連絡が入り、同じように遺体引き取りを拒否した上で、相続放棄に動いている可能性が高いと思われました。
そのため、管轄の家庭裁判所に対して相続放棄の有無の照会をいたしました。
照会の結果、やはり被相続人の娘・息子の両名は相続放棄をしていました。
本事例の結末
上記照会を受けて、ご依頼者様についても速やかに相続放棄の手続を行いました。管轄の家庭裁判所からは、問題無く、かなり迅速に相続放棄申述を受理した旨の通知がありました。
本事例に学ぶこと
第二順位(被相続人の父母、祖父母等)や第三順位(被相続人のきょうだい)の相続人については、先順位の相続人が存在する場合、その相続人が相続放棄しない限りは当該相続の相続人とはなりません。
本ケースのように自分が相続人かもしれないと思ったときには、まず戸籍謄本等を取り寄せて誰が相続人であるかを確かめることが必要ですし、先順位の相続人がいる場合には、その相続放棄の有無を照会することも有用です。
特に、被相続人が借金を抱えている、孤独死をした、というような場合には、相続放棄をしなければ債務を負う可能性があります。
ご自身でこういった資料収集や手続が難しい場合には、是非弁護士にご相談ください。
弁護士 木村 綾菜









