相続人は,妻と子ども1人。遺産は,不動産と預貯金。妻は、相続開始の数年前に、夫である被相続人から、不動産の一部を贈与され、被相続人との共有となっている物件があった。

申立人(子ども)としては、相続前に贈与を受けている以上、その分は特別受益にあたると主張した。一方の相手方(妻)は、もともとすべての不動産は、夫婦の共有財産だったので、名義人がどちらであろうと関係ない、つまり、特別受益にはあたらないと主張した。

しかし、その不動産が、居住用というよりは、投資用に近かったことや、もともと、共有だというのであれば、最初からその旨の登記をしておけばよかったはずであることや、財産分与と遺産分割の場面が異なることなどを主張して,相続前の生前贈与(持分譲渡)を特別受益として持ち戻した上で,遺産分割調停が成立した。