森田弁護士

相続が開始し遺言書が見つかったら、どのようにして遺言が実現されていくのでしょうか?

自筆証書遺言の場合は、見つかった時点で速やかに、家庭裁判所へ持っていくことになっています。
家庭裁判所では相続人の立会いのもと遺言書が開封され、検認されます。
検認とは、遺言書の形式や状態を調査して、その結果を検認調書という裁判所の文書にすることです。

検認を受ける前に未開封の遺言書を開封し、偽造、改ざんすることは法律違反で、厳重に処罰されることになっています。
遺言そのものが無効になることはありませんが、相続人に刑事罰である過料が科せられるなど、相続欠格として相続権を失うこともあるのです。
なお、公正証書遺言の場合には、検認の必要はありません。

遺言書がなかなか発見されず、発見されたときは遺産分割が終わっていた、というケースもまれにあります。遺言書の内容が遺産分割の結果と違っていた場合には、遺言によって、本来、もっと遺産を取得できた相続人は相続回復請求権を行使することになります。相続回復請求権によって遺産は遺言どおりに再分割されます。

遺言執行

遺言の内容を実現するにはさまざまな手続きを行っていく必要がありますが、遺言によって、そのような手続を行っていく遺言執行者を指定できることになっています。

遺言執行者は必ずしも指定しなければならないものではありませんが、不動産の登記や引渡しの手続き、預貯金の払い戻し、株や保険の名義書き換えなど、遺言執行者がいなければ実現に困難が伴うことも多くあります。

遺言ではそうした遺言執行者を指定したり、第三者に指定を委託したりすることができるのです。遺言執行者には誰がなってもかまいません。相続人である親族に執行者を指定することも可能ですが、「自分に有利にしようとしているんじゃないか」と、他の相続人とトラブルにもなってしまうこともありますし、また、遺言執行をしていくには法律の知識を要するので、弁護士などの法律専門家に依頼するのが通常です。

遺言執行者の指定がなかったときは、場合によっては、相続人や利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者選任の請求をする必要がある場合もあります。遺言執行者は、相続が開始すると直ちに遺言の実現にとりかかります。

遺言の実行手順

1)被相続人の財産目録を作る
財産を証明する登記簿、権利書などをそろえて財産目録を作り、相続人に提示します。

2)相続人に対する遺産の分配を実行する
遺言に従って、実際に遺産を分配します。不動産については登記、預貯金については口座の解約、株や保険については名義変更などを行います。

3)相続財産の不法占有者に対して明け渡しなどの請求をする

4)遺贈受遺者に遺産を引き渡す
相続人以外の者に、財産を遺贈するという内容が遺言書にある場合は、その配分・指定にしたがって遺産を引き渡します。
遺産が不動産であれば、所有権移転の登記なども行います。

5)認知の届出をする
認知の遺言があるときは、戸籍の届出をします。

6)相続人廃除などの内容が遺言書にある場合は、廃除の申立を家庭裁判所に行う

遺言執行者はこのような職務をこなしていかなければなりません。調査、執行内容は相続人に報告していく義務がありますが、執行がすむまではすべての財産の持ち出しを禁じる権限を持っています。

相続人は、遺言執行の職務を終了したとき、それに応じた報酬を遺言執行者に支払います。その報酬額は遺言でも指定できますが、家庭裁判所で定めることもできます。

続の依頼(専門家に依頼するには?)

遺言執行など複雑な手続きの処理をまかせるなら、やはり専門知識をもった弁護士にその職務を依頼することが望ましいです。
弁護士には、自筆証書遺言を作成するときの指導を頼んだり、公正証書遺言の作成を依頼したりすることができます。

また、相続開始まで遺言書の保管を任せることもできます。公正証書遺言を作成する際は、証人となることもできます。

あらかじめ弁護士に遺言の相談をしておくことで、トラブルの少ない遺産相続の実現に役立つことにもなります。当事務所では、お客様の状況にあわせて迅速な対応をいたしますので、ぜひお気軽にご相談下さい。

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