遺言とは,遺言者の最終の意思を表したものです。
遺言を作ることによって、自分の財産について、誰に何を相続させるか、自由に決めることができます
さらに, 財産に関する事項以外にも遺言で定めることができますが,遺言の内容に法律効果をもたらすことができる事項は、法律で決まっています。

なお、遺言は一度作成した後、いつでも撤回したり、違う内容に書き換えたりすることができ、作成日付の一番新しいものが有効となります。

遺言を作っておくべき人

これから遺言についてご説明していきますが、そもそもどのような方が遺言を作成しておくべきなのでしょうか?

「自分には大した財産もないし、うちに限って相続で揉めるなんてことはないだろう」
「面倒を見てくれた次男の貢献は明らかだから、妻もその他の子供達も、当然次男に多く遺産を分けてあげるだろう」
「内縁の妻と子供達の関係は良好だから、自分の死後も内縁の妻は自宅に住み続けられるだろう」

本当にそうでしょうか?
ご自身の死後、残された人達があなたの希望どおりに遺産分割を進めるとは限りません
遺言が作成されていなかったがために、相続人間で遺産をめぐる紛争が発生し、何年もいがみ合う事態になってしまうこともあるのです。
遺産の分配に関して「こうしたい」という希望をお持ちであれば、早めに遺言を作成しておくべきなのです。

特に、次の3つのケースに当てはまる方は、絶対に遺言を作成しておくべきです。

その他に遺言を書くべきタイミングについて、こちらもご覧ください→コラム:遺言・遺言書は何歳から書くべきか、いつ作成すべきか

ケース1 子供のいないご夫婦の場合

子供のいないご夫婦のどちらかが亡くなると、相続人となるのは、まずは残された配偶者です。
その他に相続人になる可能性があるのは、順番に、
1 故人の両親
2 故人の両親が亡くなっていたら、故人の祖父母
3 故人の祖父母も亡くなっていたら、故人の兄弟姉妹
です。
そして、大体のケースでは、故人の両親、故人の祖父母はすでに亡くなっていることが多いですから、残された配偶者とともに相続人になるのは、故人の兄弟姉妹なのです。

そのため、残された配偶者は義理の兄弟姉妹と話し合って、誰が何を相続するのかを決めていかなければなりません。
もし、残された配偶者がすべての遺産を相続しようと思ったら、「配偶者がすべての遺産を取得する」旨の遺産分割協議書を作成し、義理の兄弟姉妹に実印を押印してもらい、それぞれの印鑑証明書をもらう必要があります(そうしないと、残された配偶者は、死亡した配偶者名義の預貯金を引き出すことも、土地建物の名義を変えることもできません)。
しかし、義理の兄弟姉妹が協力的な方ばかりとは限りません。
何より、その関係性からいって、残された配偶者が『遺産分割協議書に押印して下さい』などと義理の兄弟姉妹に申し出て、説得することは、相当にハードルが高いと言えるでしょう。

このような事態を未然に防ぐ簡単な方法があります。
それは、生前に、「配偶者にすべての遺産を相続させる」旨の遺言を作成しておくことです。
兄弟姉妹には遺留分(遺言によっても奪うことができない相続人固有の権利)がありませんから、このような遺言を作成しておきさえすれば、遺言の記載どおりに、配偶者が故人のすべての遺産を取得することができるのです。
義理の兄弟姉妹との気の重いやり取りも、一切が不要となるのです。

その生活を守るためにすべての遺産を残される配偶者に相続させてあげたいとお考えなら、子供のいない夫婦は絶対に遺言を作成しておくべきです。

ケース2 相続する権利がない孫や世話になった内縁の妻(夫)に財産を取得させたい場合

自分が死亡した時に、子供達だけでなく、目に入れても痛くないお孫さん達にも、将来のために財産を遺してあげたいという場合もでてくると思います。
ただし、お孫さんが相続人になるのは、子供が先に死亡している場合に限られます。
子供(そのお孫さんの親に当たる子供)が生存している場合は、お孫さんは相続人ではないので、自分が死亡した後にお孫さんに財産を遺すには、遺言でその旨を記載しておく必要があります。

また、内縁の妻や夫の場合も同様です。
籍を入れていなければ法律上の「配偶者」ではないため、内縁の妻ないし夫は相続人にはなることはできせん。
長年連れ添って世話をしてくれた方にも財産を遺し、その生活を守ってあげたいという場合は、その方に財産を取得させる旨の遺言を作っておかなければなりません。

ケース3 相続人が誰もいない場合

相続人が誰もいない場合、特別縁故者(とくべつえんこしゃ)に該当者がいなければ、最終的には故人の財産は国に帰属することになります。

この特別縁故者とは、一緒に暮らしていた方や身の回りの世話や看護をしてくれた方などが該当する可能性がありますが、そうした方々が自分で家庭裁判所に申し立てを行い、さらに、家庭裁判所で特別縁故者であることが認めらなければなりません。
こうした手間のかかる手続を経て、ようやく、特別縁故者と認められた人が故人の財産を取得することができるのです。

そのため、相続人となるべき親族は誰もいないけれど「お世話になったあの人に財産をもらって欲しい」という希望がある場合は、その旨の遺言を作成しておくべきです。

その他遺言を作成しておいた方がよい場合

□ 相続人の数が多い
□ 相続人の中に行方不明者がいる
□ 自分が死んだ後の妻(または夫)の生活が心配だ
□ 障害を持つ子供に多くの財産を与えたい
□ 家業を継ぐ子供がいる
□ 世話を焼いてくれた嫁(または婿)に財産を与えたい
□ 特定の人だけに財産を譲りたい
□ 推定相続人以外の人に財産を譲りたい
□ 再婚など、家族構成に複雑な事情がある
□ 隠し子がいる
□ 遺産のほとんどが不動産だ
□ 自分でもどのくらい遺産があるかよくわからない
□ 遺産を社会や福祉のために役立てたい
□ 相続に自分の遺志を反映させたい

私達弁護士は、日常の業務を通じて、『遺言さえ作成しておけばこんなことにはならなかったのに・・・』というケースに何度も遭遇しています。
どのような遺言を作成しておけば、ご自身の希望を叶えられ、また、相続人間の紛争を未然に防止できるのか。
是非、お気軽にご相談下さい。弁護士が親身にサポートいたします。

その他に遺言を書くべきタイミングについて、こちらもご覧ください→コラム:遺言・遺言書は何歳から書くべきか、いつ作成すべきか

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